[1]社会調査の種類
社会調査には以下のようなものがあります。
1 市場調査=市場に参加している供給者または消費者の供給・購入動向についての調査
1)消費者はどのような商品をどのような理由で購入しているか。
2)消費者はどのような商品を望んでいるか。
3)いくつかの商品のうち、消費者はどれを好むか。
など
2 世論調査
3 その他の統計調査
一般に行われている市場調査では、調査する対象によって次の2種類があるといえます
対象 | 一般を対象とする調査 | 個別の商品購入者に対する調査 |
調査項目 |
所有率・購入頻度
認知度
どのような商品を望むか
どちらの商品を選ぶか
購入意欲
メーカーイメージ
消費態度
物事に対する考え方 |
購入動機
認知媒体
商品選択過程並びに決定理由
購入時の重視度
(機能・性能、価格、デザイン、ブランド etc.)
使用(利用)状況
満足度
不満・改良点 |
一般を対象とする調査でも、短期的に個別の商品などの優劣や購入意欲を調査する場合や、
所有率の変化や考え方の変化など、長期的にデータベースを作成するための調査があります
後者の場合、『愛用者カード』で調査が行われている例が多数見られます
もちろん、これらを融合した調査もあります
[2]全数調査とサンプル調査の特徴
一般的に調査には全数調査とサンプル調査があり、それぞれ特徴があります。
それぞれに長所・短所があり、どちらのほうが優れているとは言えないので、
それぞれの特徴を生かして使い分けることが必要です。
| 全数調査 | サンプル調査 |
| 母集団の全部を調査する |
母集団から一部を抽出し
その調査結果をもとにして
母集団についての推定を行う |
1)サンプリング誤差
2)非サンプリング誤差
3)費用
4)時間 |
なし
大
莫大
多い |
あり
小
適当
小 |
例 | 国勢調査 | 視聴率調査 |
サンプリング誤差=サンプルを基にして推定した値と真の値との差
非サンプリング誤差=調査・集計の過程で生じるミスなどが原因の調査結果と真の値との差
非サンプリング誤差の例 |
調査不能による誤差 |
| 調査相手の転居、不在、拒否 |
調査員の不正による誤差 |
|
夫の代わりに妻を調査する。
実際に調査しないで調査員が適当に調査票に記入する。 |
調査票設計の不備による誤差 |
|
質問の意味があいまい。
記入の仕方の説明不足。 |
回答記入・処理上の誤りによる誤差 |
| 書き間違い・集計ミス |
[3]抽出方法(サンプリング)
全数調査、サンプル調査のどちらの場合でも、『母集団を明確にすること』が調査の最も基本です
(母集団を明確にしないでも調査を行えてしまうので、特に注意が必要です)
1 無作為抽出法(ランダムサンプリング)
1)完全なランダムサンプリング
2)系統抽出=最初にランダムに1つを抽出し、その後は等間隔に抽出していく方法
2 有意抽出法(母集団リストがなくても抽出できる)
1)割当法=母集団の構成比と一致するようにサンプルを抽出する。
サンプルを抽出する場合にはランダムには抽出しない。
例:母集団の男女比が1:2なら、サンプルも1:2になるように選び調査する。
2)典型法=母集団をいくつかの似ているグループに分け、それぞれのグループからはそのグループの代表と自分が思う対象を選び調査する。
例:日本を都市と農村に分け、都市の典型として東京の人を、農村の典型として秋田の人を選び調査する。
有意抽出法による調査結果は、実際に調べた対象についてだけ有効な結果であり、母集団全体の推定には利用できない。
現在のところ一般的にインターネット調査では、サンプリングと呼べるような状況になっていない。
[4]サンプリング誤差と必要サンプル数
サンプルの結果から母集団での結果を推定するときには、一部から全体を推定するのであるから
誤差を伴うのはどうしても避けられません。
1 パーセントP(割合)のサンプリング誤差
信頼係数(確率)95%の区間推定で、
1)母集団の大きさN
=母集団のデータ数
2)母集団のパーセントP
=母集団のデータが0と1とから成り立っている場合(=二項母集団)の、1のデータの割合
3)サンプリング誤差の最大値E(パーセント)
=サンプルを基にして推定した値と本当の値とのくい違いの最大値
4)サンプリング誤差と推定の精度
サンプリング誤差の最大値Eが大きい=推定の精度が悪い
サンプリング誤差の最大値Eが小さい=推定の精度が良い
2 サンプリング誤差の最大値Eの計算公式
「確率95%で」
が成り立つ
サンプル数の決定のためには上の式から次の式が成り立ちます。
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これを使って標本数n(標本の大きさ)を決定する。
そうすると各誤差の最大値Eにたいして必要な標本数は、
E=10% ⇒ n=100
E=5% ⇒ n=400
E=2% ⇒ n=2500 となります
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上の結果より100サンプルが目安となりますが、性別で結果をみたいならそれぞれで100サンプルずつ
計200サンプル必要となるわけです。
但し、これは、あくまでも学問的な数字で、実際には、調査費用との兼ね合いで決定することになります。